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[コメント] 殺さない彼と死なない彼女(2019/日)

白い画面のなかで交わされる助詞と修飾語が省かれた今風の若者言葉のやり取りが不思議なリズムを紡ぎだし、本作にはそぐわない野暮なワードだが“自意識”のぶつかり合いが、いい加減にしろと言いたくなるぐらい際だって10代の真剣かつ滑稽な面倒臭さが充満する。
ぽんしゅう

観終わって振り返ってみると、この映画、二人の人物で画面を構成することで成り立っていたような気がする。例えばあるシーンの登場人物が一人で始まっても、必ずそこへ誰かもう一人加わり二人になる。そしてそのシーンは、それ以上でも以下でもなく必ず「ふたり」のシーンとして完結するのだ。

その「ふたり」の「位置」と「距離」が、画面内への出入りや、前後、左右、上下の位置固定や入れ替わり、さらに奥行(広角画面のなか少女も少年もフレームアウトし声だけ)と巧みに制御される。そして、フレームという限定的な空間のなかで「ふたり」の心の動きに直結した、今どきの若者言葉に託されて互いの自我のぶつかり合いとなってぶつかり合うのだ。

この映画、徹底して「ふたり」とその物理的な「距離」を描くことで、瑞々しくも気恥ずかしい“自意識”を画面にあぶり出して見せた、実にテクニカルでスリリングな映画だった。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ゑぎ[*] けにろん[*]

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