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[コメント] 黒部の太陽(1968/日)

140分短縮版で鑑賞。裕次郎親子の葛藤はいつの間にか緩和され、三船の家族をめぐる悲哀もそこそこの深刻さ。難航する破砕帯突破は為すすべなく、ひたすらマゾヒスチックに掘り続けていたらポッカリ貫通、美酒に浸って大団円。やはり196分版を観ないと評価下せず。
ぽんしゅう

ということで数年の後、196分の完全版で再鑑賞。

次々に迫りくる危機をどう切り抜けるかというポジティブアクションではなく、話しの9割はいっこうに前進しないドン詰まり状況にひたすら耐え続けるネガティブアクション映画。金のかけどころが「水」と「時間」に限定され、細切れにはさみ込まれる苦し紛れの人物葛藤劇もステレオタイプ。

辰巳柳太郎爺の孤軍奮闘の大暴れには「哀れ」さが漂い、石原裕次郎のトンネル掘りの動機が不純で合理エリート臭も鼻につく。

そんなか、辰巳柳太郎、三船敏郎滝沢修宇野重吉の共通項として、子供を亡くした男という境遇がぼんやりと浮かぶ。未来のために、子供という未来を失くした男たち。ここに第二次大戦で生き残った者たちから、命を落とした者たちへの懺悔と感謝が滲む。

ところで、連日連夜、突いても突いても突き抜けない岩盤相手に、新妻(樫山文枝)との甘い“性活”もままならないであろう新郎(裕次郎)が、ついにフラストレーション爆発させ、単身穴に潜り込みドリル一本ふりかざし”貫通”に挑むクライマックスが妙にエロティック。笑いました。

で、評価は短縮版と変わらず、でした。

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緑雨さんへ

完全版でもいきなり裸で折衝してました。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)おーい粗茶[*]

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