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[コメント] 吹けば飛ぶよな男だが(1968/日)

ヤクザ的封建制を否定し、宗教的閉鎖性に裏切られ、そして母性的庇護からも見捨てられた三郎(なべおさみ)の向かう先を特定できず、日活映画よろしく海へと逃げたのは時代に対する山田洋次の迷いなのか。寅さん誕生前夜の放浪への序章なのか。
ぽんしゅう

この作品が公開された同じ68年に『男はつらいよ』はテレビドラマとして放映され、翌年映画化されるのだが、三郎(なべおさみ)のダブダブの上着と帽子、弟分ガス(佐藤蛾次郎)との関係(テレビ版「男はつらいよ」で渥美清の弟分に扮する佐藤の役名もガスだったと思う)や、映画版で寅次郎の母親を演じるミヤコ蝶々と本作のなべおさみの擬似母子関係など、寅次郎誕生前夜の山田洋次的世界の混沌とその収斂として本作を観てみるのも楽しい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)直人 死ぬまでシネマ[*] 山本美容室[*]

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