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[コメント] ソルジャー・ブルー(1970/米)

無知で青臭い青年兵士に対し、すでに地獄を知っている女(キャンディス・バーゲン)の少し覚めた諦めが、ニューシネマらしい皮肉なユーモアを交えて綴られる。微笑ましくも見えるやり取りの奥に、深い溝の残滓を感じつつ現実へ。現実が地獄であるという悲劇。
ぽんしゅう

冒頭で祈るように歌われるバフィー・セントメリーの歌が切ない。「ここは、私たちの国(故郷)なのよ。“This is our country.”」という歌詞の「私たち」とはいったい誰のことなののだろう。彼女たちネイティブアメリカンのことだろうか。それとも、兵士たちをも含めたアメリカ大陸に暮らす全て人々のことだろうか。あるいは、もっと広く・・・・・。

「私たち」という言葉が使われるとき、その使い手がどれだけの人々を含めて「私たち」と言っているのか。その範囲や線引きが、常に争いの発端でありながら、友好や共存の基準にもなりうることを、すでに「私たち」は知っているはずである。「私たち」は、使われる度量により、極めて危険な言葉でありながら、和解への限りない可能性を秘めた言葉でもあるのだ。

(評価:★4)

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