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[コメント] ブルークリスマス(1978/日)

着想のユニークさと展開の巧さは、さすが当時の視聴率王倉本聰岡本喜八の演出も別段破綻なく、むしろ手堅いぐらいだが、全然面白くない。理由は、私の血の色は赤であり、その限りに置いて、私はいつまでたっても傍観者でいられるからだ。
ぽんしゅう

この映画には決定的に葛藤が欠けている。もう少し正確に言うなら、物語の中に存在するはずの苦悩や葛藤が観る側にまったく伝わってこないのだ。

本来、生身の人間が有しているはずの「差別する」という行為が、人間ではなく権力という曖昧模糊なものの仕業に置きかえられてしまっている。だから、自分がいつでも差別者にも、被差別者にもなりうるという不安は簡単に棚上げされ、同時に、拉致された大学教授や事件を追う放送記者、そして悲運なカップルたちが抱え込んだはずの苦悩と葛藤もまたスクリーンの中に閉じ込められる。差別と権力の問題が混同され、制作者の意志が曖昧になってしまっている。差別は権力ではなく、まず人間の心から発せられ、その総体が権力となって伝播するものなのだ。U.F.Oと遭遇しない限り、私の血の色は変わることなく、私は物語に対して安心して傍観者を続けられるのだ。安心して観ていられるサスペンスが面白いはずがない。

だから公開当時、一緒に観に行った彼女に感想をきかれ、「ブルーの血の人たちは、生理用品のCMには赤を使うのかな?」などと言ってしまったのだと思う。私にとっては、そういうバカな青春の思い出の映画なのです。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)死ぬまでシネマ[*] おーい粗茶[*] sawa:38[*]

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