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[コメント] ラスト・ショー(1971/米)

終焉まぎわの停滞のなかでは、人との関係は疎になるが人への関心は密になるのだろう。だから時代の役割を終えた片田舎の男たちは、たかが高校生のフットボールに執拗にからみ、女たちはそれぞれの想いのなかへと視線を彷徨わせ時間をやり過そうとするのだろう。
ぽんしゅう

そんな街の、そんな人々の中で10代を過ごすソニー(ティモシー・ボトムズ)やデュアン(ジェフ・ブリッジス)、ジェイシー(シビル・シェパード)たちの青春とは目に見えぬ投網に行く手を絡めとられた青春なのかもしれない。

ただ一つ、大人たちと彼らに違うところがあるとしたら、それはこれから迎える時間の長さだろう。彼らにとっては、まだ何も始まっていないのだ。ただ、全てが終焉へと向かうような世界から、彼らはスタートを切らなければならないというだけのことなのだ。

それは、暗く不自由なことかもしれないが、どうしようもなく不幸なことだと決め付けるほど人生は捨てたものではないはずだ。そう思いたい。

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