コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 修羅雪姫 怨み恋歌(1974/日)

復讐を終えた雪(梶芽衣子)の次ぎのテーマは、「逃げる」ではなく「前進する」だ。冒頭の息を呑む移動撮影に始まり、全編通して留まることはあっても決して退くことなく前へ進み続ける雪の姿を執拗に捉える鈴木達夫のカメラがそれを雄弁に語っている。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ただ、前進するための闘いに疲れ刀を一度置いた雪(梶芽衣子)が再び前へと進み始める動機が、犬猫と共に葬られた反逆者たちの霊のためというのはあまりにも安直で、これでは義理と人情と恋慕に揺れながらドスを振るった前世代ヒロイン藤純子の、ベタだが切ない説得力に軍配を上げてしまう私なのであります。

それにしても、朝霧に霞む下り坂の太刀まわりの長廻しから、緑色の沼で血を濯ぎ、大木戸からそっと世間の喧騒を覗くまでの、あのオープニングシーンの痺れるような美しさは何なのだ。何十回でも見てみたい。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)Myurakz[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。