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[コメント] 浮草(1959/日)

これはまさか小津パロ最高峰作品(?)、市川崑の『あなたと私の合い言葉 さようなら、今日は』逆パターン!?奇しくもこの2作、同じ年に製作されて、キャストまでカブりまくっている。
づん

並べてみるとかなり興味深い2作だし、崑ちゃんのパロっぷりには大いに楽しませてもらった。けれどもこちらの方は、個人的にだけど、小津作品として面白くない。執拗に画面に赤を配置している事でようやく小津を感じる程度で、大映・伊豆・関西弁・宮川カメラなど、小津らしさがあまり感じられない取り合わせに違和感を感じてしまったんです。恐らくほとんどの人がこれらに違和感を感じるんでしょうけど、それを受け入れられるか受け入れられないかで分かれるんでしょうね。

縦横無尽に動くカメラは面白い。けれども小津作品を観ている私にはビックリしてしまうんです。また同じ海沿いの街でも鎌倉と伊豆では全然空気が違う。そして当然ながら同じ棒読みでも標準語と関西弁ではやっぱり全然響き方が違う。この作品の持っている猥雑さを小津自身持て余していたのではないかとすら思ってしまう。けれどもそれは、一つの映画として面白くない訳ではないんですよね。…難しい。

軒下の喧嘩シーンのスゲェ事と言ったらなかったし、杉村春子の、今までにない落ち着いた色っぽさにはドキっとしたし、浴衣の柄のモダンっぷりには頭がクラクラした。ラストも好き。点数見てもらえれば分かるとおり、かなり楽しんで見た作品なんです。でも小津作品として見たら面白くない。(しつこい)

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09.07.03記(09.06.27DVD鑑賞)

(評価:★4)

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