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[コメント] 山椒大夫(1954/日)

溝口健二は男女の愛(恋愛でなく、愛)、しかも胡散臭さの炸裂している愛を描いた方が巧いと思う。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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今作は家族の絆を描いた作品だったので、私の好きな溝口らしさは際立っておらず。また男性陣の演技もイマイチ。完全に女性陣に呑まれてしまっているように思いました。そんな女性陣の中で毛利菊枝さんも超嫌な雰囲気を巧く出していましたが、やはり群を抜いているのは田中絹代さん。相変わらず恐ろしい演技を見せてくれます。彼女をイジめまくった監督も同じ思いだったんでしょうか、彼女は小ぎれいにしているよりもボロ雑巾のようになっている方が映えるなぁとつくづく思いました。ラストの姿は『楢山節考』を思い出させる。・・・が、今作の方が4年も先なんですね。彼女の幅のある演技はやはり素晴らしい。

映像においてはすすき野を歩くシーンや入水後に静かに広がる波紋、ラストのロングショットの美しさ等には目を見張るものの、宮川一夫らしいしつこく食いつくようなカメラワークは今作ではそんなに見受けられない気がしました。逆に早坂文雄の音楽は印象深い。『雨月物語』同様に幽玄でファンタスティック。海外受けしそうな感じですね。

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08.12.15 記

(評価:★4)

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