[コメント] クリムト(2006/オーストリア=仏=独=英)
画面の質をクリムトの絵に近づけようとする努力は認めたいのですが、出てくる女性が完全に「クリムトの絵の中の女性」になっているのはどうかと思いました。
まるで絵から抜け出てきたような女性たちが動いているところを見るのはある意味非常に感動したんですが、あの女性像は彼の目を通して見た時にそうなり、絵として残ったものであって、実際にそういう女性が動いているというのはある意味、彼の絵を否定しているようなものじゃないかと。
また、彼の苦悩がそんなに伝わって来ないのが辛い。彼の生き様を表面的になぞっているだけでは感銘なんて受けられるはずがありません。鏡を多用して彼の内面的な苦悩を表現しようとしていたのかも知れないけど、クリムト本人が楽天的に見えるというか、重い画面とは裏腹に人生を軽やかに歩んでいるように見えてしまったし、そういったキャラが彼の作風とリンクしなかったのが残念。
ただ、クリムトが細菌を見て素晴らしいと言うシーンはとても好きでした。なんとなく彼はそう言いそうな気がするもんね。
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08.04.03 記
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