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[コメント] ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(2007/英=米)

物語が核心に迫ってきた。良い意味で子供だましの連続だった1作、2作がここにきて尊い意味を成したのだと思います。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







またいきなり小説の方の話をしちゃって恐縮なんですが、『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』、実は今出てるシリーズの中で一番好きじゃない巻なんです。ハリーが無駄にイライラしている、ダンブルドアがお茶目じゃない、ローリングさんが不必要に話を長くしようとしている(若しくは松岡祐子さんがか?)、アンブリッジとファッジが最強にムカつく!!!・・・と言った、結構ストレスが溜まってしまうようなポイント目白押しで、実は1回しか読んでいない。ヘヘ。しかも読んでるこっちも徐々にイライラしてくるので、内容がすんなり頭に入ってこなかったんだよねー。特にラストの戦いの件なんてのはなんか文章を読んで想像するのも神経使うっていうか、要は今までみたいに安易にその世界が頭に浮かんでこなかったんです。だからこの巻は好きじゃないし、何度も読み返したくもならなかった。

で、結局公開直前にもう一回やっぱ・・・!と思って読み返してはみたものの、先行上映日までには読み終わらなかった!!(先行上映日の3日前から読み出してたんじゃ、そりゃ間に合う訳ない)

で、途中までおさらいした状態で映画鑑賞。こんな事はハリポタ始まって以来ですよ。この自他共に認めるポタオタの私とした事が!!!!(でもそんなに悔しくない)←要は本当にこの話、好きじゃない。

エートですね。序盤はいつものごとく、超駆け足。見てるこっちの目(脳)が回る。あああああ早い!早い!!!落ち着けお前ら!!!そういう感じ。しかも「いや、そこは別に…」ってところがキッチリ描かれていたり、「えぇ!!そこは要るとおもうよ!」ってところが端折られていたり。そんな「端折るなよポイント(小説ネタバレあり)」→謎の魔法使いからダーズリー夫人(ペチュニアおばさん)宛てに「私の最後のあれを思い出せ、ペチュニア」という短い吼えメールが届いた事。これってあきらかに今後への布石じゃないの!?今までずぅ〜っと魔法使いなんて大嫌い!!!あんなヤツらの世界の事は絶対口にするな!!って言ってたペチュニアおばさんが、何故か魔法界と繋がっていた???この事実はガボーン!だったんですよ、小説を読んでいた時は。これって今後絶対何かあるよね。って思っていたのに端折られてるんだもん。そりゃビックリするわ。プラス、「なんとなく納得いかないポイント」→ディメンター(吸魂鬼)のルックスが変わってる。シリーズものとしてそこは統一しとけよ(泣)

あぁ・・・この監督もダメだ↓↓センスもないし、また絶対小説も通読してないような人だわ、ローリングさんもその選択についてちょっとは考えろよ・・・とヘコんでいたのは最初の30分くらい?

ホグワーツに戻ってからは急激に話に吸い込まれていきました。それはもう見事としか言い様がなく、小説の事は徐々に頭から消えていったほどです。まぁ元々頭にほとんど残ってなかったダケなんですけどもー。てか、小説の方は不必要に本を分厚くしようとしているような無駄な描写やエピソードも多く、今回はストーリーの要点をしっかり把握さえしていれば、シンプルな骨組みに解体しやすかったのかも知れません。この監督は実に上手い具合に原作を解体し、見事にそれを再構築していました。うん、この監督好き!!

特にダンブルドア軍団を結成し、みんなで闇の魔術に対する防衛術を自主的に学ぶシーンなんかは本当に面白かった。キャラの特徴をよく掴んで、それを上手く利用していたし、普通に「みんな!頑張れ!!」って思わず応援してしまいました。ルーナなんか特に使い方が上手かったし、過去最高に絶妙なキャスティングだったと思います。私はルーナは特に思い入れのあるキャラで、本当はもうちょっと変人気質が強いんですが、映画のルーナははなまるをあげたいくらい上出来でした。ルーナの出した守護霊がうさぎだったのもなんかすごい嬉しかったし(ルーナ好きでうさぎ好きの私)。

でもやっぱり不満な箇所はある訳で。もう毎回言いまくってるからもういいよって感じなんですが、どうしても私はマイケル・ガンボンのダンブルドアに納得出来ない。お茶目さが皆無なマイケル・ガンボンはダンブルドアの器量じゃない。ダンブルドアは超偉大な魔法使いで、国際魔法使い連盟の議長職やウィゼンガモット法廷の主席魔法戦士、勲一等マーリン勲章も持っているんですが(よー分からんがそれだけ偉大って事)、これらは全部今作のファッジの陰謀で剥奪されてしまいました。それでもダンブルドアは蛙チョコレート(ビックリマンチョコレートみたいなもんか?)のカードにさえ残れば何も気にしないっていうような人なんです。超お茶目!!マイケル・ガンボンからこんなお茶目さは全く想像出来ないよね?映画が公開されてからは小説を読む時も映画のキャラが頭で動くようになってしまったんですが、私の脳内ではダンブルドアは未だにリチャード・ハリスなんです。(関係ないけど、シリウスも私の脳内ではゲイリー・オールドマンではなくジョニー・デップなんだよねー何故か)・・・でも今回のラスト、ヴォルデモートとのタイマンシーンはちょっとかっこよかったな。過去最高に見ごたえのある戦闘シーンだったと思います。

そしてシリウス。ネタバレでもちょっと書くのが憚られるので書きませんが、彼が本当にいなくなってしまったのか、私は今も半信半疑なんです。ただ、1巻でダンブルドアが言った台詞を考えると(『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』のレビューで少し触れているので気になる方はそちらを読んでみて下さい)、本当にいなくなってしまったのかなーと。とにかくアバダケダブラなんていうアッサリとした呪いのせいで、死闘を繰り広げる事なくいなくなってしまうってのがそもそも納得出来ないんですけどね。

全体的に小説よりもハリーのイライラは伝わってこないし、アンブリッジ、ファッジの厭らしさも希薄になっているし、初めて起こるダンブルドアへの不信感なんてものも全然表現しきれていないし、今回もまたいつもの如く超薄味ではあるんだけど、でもなんか今回はいつもとは比べ物にならないほど面白かったんだ、私は。

それは多分、本当にこの作品が大好きで、バカみたいに小説読みまくって映画見まくって、思い入れもハンパなものじゃない私の琴線に触れる作り方がしてあったからなんだと思います。シリーズ5作目にして今回初めて回顧シーンがありました。ヴォルデモートに心を乗っ取られそうになるハリーが過去の苦い思い出を思い出す。そしてダンブルドアにヴォルデモートと自分がいかに違うかを考えろと言われ過去の楽しかった思い出を思い出す。それは1作目『賢者の石』にまで遡り、過去の映像を利用して作られたシーン。これって"作られた過去"ではなく、あきらかに"本当の過去"なんだよね。シリーズと共に成長してきたハリーの、紛れもない本当の過去なんだよね。あのミルク臭さすら残っていそうな新入生時代のハリー。急激に大人っぽさを増していく2年生。親友との喧嘩や恋に悩む3、4年生。そして今、親友の2人と心の底から笑い合える現在がある。この"最も近い過去"としてハリーの脳裏に映ったシーンは、チョウとキスをして寮に戻ってきたハリーにロンとハーマイオニーがその時の様子を聞き、他愛のない会話で笑っている、そんなシーンでした(このシーンのハーマイオニーの笑顔は、エマ・ワトソンの女優人生で最も秀逸なシーンとなるのではないかと思う程、素晴らしい笑顔でした)。もう本当、泣きそうになった!!!未読の最終巻を思い、そしてハリーの今後を思い、生まれながらに悲痛な運命を背負いつつも、確実に小さな幸せを積み重ね、大きな幸福を手に入れてきたハリーを思い、すげぇ泣きそうになった!!!そしてここにきてようやく、あの穏やかに過ごした1、2年生の重みを改めて感じる。今『賢者の石』を見直したら泣きそう、本当に。これって良く分からないんです。果たして映画だけを見ていても同じ気持ちになれたのか、小説と映画を合わせて見てきたからここまでぐっときたのか、正直もう判断出来ない。でも監督は分かってる。今まで歩いてきた道のりの重みを。今、心底思うんです。2001年公開からリアルタイムでこのシリーズを見る事の出来た幸福を。ハリーがヴォルデモートに対して発したくさい台詞も、何故だかものすごく心に響いたんです。この「お前は愛や友情を知らない」というニュアンスの台詞、原作にはないんですよね。映画オリジナルのハリーの叫びなんですが、それが妙にツボにハマってしまい、うっかり嗚咽を漏らすところでした(ちなみに同じポタオタの母もくさい台詞大嫌いなんですが、ここでやっぱりぐっときたそうです)。この感慨深い気持ちがすでに5作目で沸きあがってくるとは思いもしませんでした。こうなると6作目、7作目で私はどうなってしまうんでしょうか。是非ともデヴィッド・イェーツに監督を続投していただきたい。素晴らしかった!!!!!

さて。公開日までに小説の続きを読んで、読み終わって未だ時間があるなら1作目から映画見直して、そしてまた劇場に行こうと思います!!もしかしたら加筆修正するかもです。(書きたい事はまだ山とあるんだけど、読む方も辛いよね・・・)

◆おまけ◆

小説の方では、今回監督生に選ばれたり、クィディッチでキーパーになれたりと、ハリーに嫉妬心でイライラを倍増させてしまうほど活躍したロンが、映画ではいつも通り頼りないちょっとおバカなロンだった事が、残念だったような面白かったような・・・。それからラストのハリーとダンブルドアのやり取りが非常に雑だったと怒髪だった恋人の意見を尊重して、ここに書いておきまーす。(恐らく私もしっかり小説を読んでから映画を見たら大爆発していたと思うので…)

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07.07.17 記

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:追記:

やっぱり最強に面白かった。分かりやすい悪(ヴォルデモートよりもよほど分かりやすい目の前の敵、アンブリッジ先生)の存在、それをこてんぱんにやっつける爽快感、そして何よりもホグワーツでのシーンが多いという部分が面白さの要因か。

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09.07.19(TV再鑑賞)

(評価:★5)

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