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[コメント] ナルニア国物語 第2章:カスピアン王子の角笛(2008/英=米)

ラストは秀逸であるも、子供に見せるには抵抗のある作品でした。子供いないけど。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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今作は最初から最後まで戦争でした。子供たちが最初から最後まで戦っている。子供たちがファンタジーの世界に行ってまで戦争をしているってどうなんだろうと。しかも戦う事に対し何の疑問も持たずに、特に長男なんかは自らすすんで戦っている。何故ナルニアはこうなってしまったのか?何故戦わなきゃいけないのか?そういう疑問を持って欲しかったし、持たなきゃいけないと思います。疑問を持たないって事はとても危ない事だなと思ってしまいました。その場にあるものを素直に受け入れる柔軟性も必要だと思うけど、どうせならナルニアでの経験を現実世界で活かせるような、人間的に成長出来るような経験をさせてあげたいと思いました。ナルニアで経験した事は殺生です…なんて救われない。たとえ臭くなろうとも、木々がダンスをしなくなってしまったところなんかを掘り下げて描いて欲しかったし、そういうところにこそ焦点を当てるべきだったんじゃないでしょうか。

それからアスランの雄たけび一つで解決するような戦争の終わりも、だったら今までの戦いは何だったの?と思ってしまうし、私だったらそれこそアスランに対して不信感を持ってしまいます。彼らにとってナルニアやアスランとは一体どういった存在なんでしょうか。「ナルニアのために!」とか「アスランのために!」って雄たけびをあげていたけど、ナルニア国もアスランも、彼らにとってそこまで背負うほどの存在ではないように思えました。だからこそ、中立なる目でナルニアの現状を見極めて欲しかったし、それでも戦わなければならないという流れになるんだったら、まだ納得出来たんですけど。

ただ、ラストで長男と長女はもうナルニアへ来る事は出来ないと言っていましたが、そのシーンは結構好きでした。わりとあっさり描かれてはいましたが、悲しみを孕んだモラトリアムの終わりとして見ると、私はあのラスト好きだなぁ。前作もそうだったんですが、このシリーズは本当にラストが秀逸。ファンタジーってこうあるべきなんだってのを、ラストでしっかり呈してくるのがにくいなーと思いました。

それでもやっぱり子供に見せるには抵抗のある作品です。1作目がドストライクで子供向けだっただけに、なんだかやるせない。

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08.06.02 記

(評価:★3)

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