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[コメント] ゼロの焦点(2009/日)

人間性に焦点を当てすぎて、サスペンス色が弱まってしまっている。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







サチコの心情をしつこく描く事で、1961年版との差別化を図ったのでしょうか。(原作未読なので、原作との絡みは分からないんですが…)

そこは非常に好感が持てるし、当時の女性が置かれていた立場や悲しみに焦点をあてた分、彼女らに容易に感情移入する事が出来ました。

けれどもその分、サスペンスとしての面白みは半減してしまっていたように思います。サスペンスとして楽しむにしては、悪人が出てこなさすぎるのかな?特にサチコなんかは辛い過去や悲しい思いを抱いて、それに抗うように生きている強さ、そして己の犯した罪の重さに潰されてしまうような弱さも全面に出ているから、彼女の犯した罪が"利己的な罪"とはまた違うように感じてしまったんだと思います。

だからかどうかは分かりませんが、私はとても面白かったです、正直言うと。1961年版よりも。でも崖シーンの持つ破壊力は断然1961年版の方が大きい。この作品で最も重要と思われる崖のシーンがイマイチだったという事は、監督が伝えたかった当時の女性たちの思いは特にこの原作に乗せなくても良かったのかな?とも思ってしまったんです。言い換えればリメイクじゃなくても良かったのでは?という事。否定している訳ではないんだけど、サスペンス色が弱まってしまうのであれば、この極上のサスペンスといわれている原作を下敷きにしなくても良かったんじゃないかなって。

くどいけど、とっても面白かった。とっても面白かったんだけども、サスペンスを期待していた人たちにしてみれば期待を裏切る出来と言わざるを得ないだろうなと。

それにしても有馬稲子の金沢弁も良かったけど、木村多江の金沢弁も可愛くて良かった。

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10.05.21記(10.04.14機内鑑賞)

(評価:★3)

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