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[コメント] 黒い十人の女(1961/日)

ひゃーっとなる。すごいひゃーっとなる。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







これまたなんとも面白い作品でした。本当にひゃーってなりました。

まず、すっごいオシャレ。私、当時の事をよく分かっていないんだけど、これってオシャレに見せようとしてこうなってるの?「オシャレでしょ?センスいいでしょ?」っていうおしつけがましさを全く感じなかったんですが。ナチュラルにハイセンス。市川崑の天賦の才能だとしか思えない。ファッションもメイクも当然オシャレなんだけど、アングルとかカット割りとか全てにおいてファッショナブルでびっくりする。小西康陽がこの映画を気に入ってるってのも頷ける。(でも彼が絡んだリバイバル上映用の予告編はやっぱりオシャレ臭が漂っていて、鼻につくんだよなー。そういうところ嫌いじゃないんだけど、せっかくの無臭ハイセンスが駄目になる)

そしてまた女優陣がひどく豪華。若き日の中村玉緒岸田今日子も見られるんですが(岸田今日子は使い方によってはファッションアイコンにもなりうるコケティッシュさを爆発させてます)、もう圧倒的存在感で輝く岸惠子山本富士子が素晴らしい。なんという美貌!これが真の女優ってものなんだと目を見張る。岸惠子は『おとうと』で見せた所帯臭さを全く消し、本当に洗練された女性を演じています。美しすぎてうっとりしてしまいます、本当。

そしてそんな女性陣の中でも全く遜色なく魅力を発揮する船越英二!心底ムカつくのに好きで好きでたまらないって気持ち、私もいつもある人に抱くのでよく分かるんですが、観てる人までしっかりその気持ちにさせるダメ男っぷりが素晴らしかった。

それから台詞回しとかもなんだかとっても印象的。「僕は○○なんだよ?」「僕××なんだけどなぁ」っていうなよーとした男子言葉に、「あーた」「ごめんくださいまし」と言った美しくも尖がった女子言葉。やだなぁ、日本語の素晴らしさまで再確認させられてしまった…。

シリアスなんだかコメディなんだか…っていう市川崑監督独特の持ち味を存分に楽しむ事が出来るし、ラストもまた前衛的な事この上ない。何度も観て何度でも「ひゃー」となりたい映画。

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08.07.04 記

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (8 人)緑雨[*] 浅草12階の幽霊 ジェリー[*] ペペロンチーノ[*] 直人[*] ぽんしゅう[*] デナ

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