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[コメント] モンド(1996/仏)

自然の美と生命の美を見せつけ、それでもこれはアンタだけのものではないんだと突き放す。観る者に媚びているように見えてその全く逆。次第に観る者に媚びさせる、そんな映画。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







モンドの美しい顔とそれに似つかわない人懐っこい笑顔。人間の力では決して作り出せない自然に溢れる鮮やかで美しい色の数々。無頓着で無防備な石の形。太陽を飲み込んで金色に輝く海原。

「この世界はみんなのものではあるけど、アンタだけのものじゃないんだよ。」

誰もがモンドを必要とし、手放したくないと思う。あの美しい笑顔と素直な心に触れていたいと思う。チ・チンが言う。「どこにも行かないでおくれ。」それに対してモンドはこう答える。「どうしたの?いつも一緒にいるよ。」まさにモンドはアンタだけのものではないけれど、いつでもアンタの傍にいるんだ。そう言われている気になる。

愛しくてたまらないソレはいつでも傍にあるのに、触れていないと不安でたまらない。まさにこの映画そのものであり、この世界そのものであるように思う。この美しい世界が永遠に続けばいいと思う私たちを尻目に「世界の終わりだってあるんだよ」と囁かれているような気にもなり、胸が締め付けられる。それでも私にとって大切な、大切な映画である事には変わりない。

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04.06.23記

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)tredair[*] ことは[*]

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