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[コメント] もののけ姫(1997/日)

宮崎さんの思想を、想像力という道具を使って、これほど美しい映像、音楽で表現されているということに感動します。完璧。
sj

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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この映画はよく自然と人間の対立という形で紹介されることが多いし、それもまた一部であるとは思いますが、もうひとつの面白い点は、日本における宗教の始まりと自然との関わりを描くことによって、人間の宗教に対する身勝手さが表現されていることだと思います。

人間がずっと弱かったころ、彼等はシシ神を森の守神として崇拝していたのでしょうが、タタラ場が発展して神秘的なシシ神の存在が邪魔になるに従い敵意を持つようになり、そして結局は首を奪ってしまう。が、良心がそれを許さず、人間の手で首を返して、シシ神からの赦しを得る。シシ神を作ったのも人間なら、倒したのも人間(タタラ場)で、それに呵責を感じているのも人間(アシタカ)、そして最後に全てを赦して、全ての人間の傷を癒したのも人間。 最後に山に緑が戻り、人々のハンセン病も癒されますが、シシ神は戻りませんし、コダマも1匹しか戻ってきません。つまり人間はシシ神を捨てたのでしょう。シシ神の首取りから始まった一連のイベントは、人間がジタバタと円の回りを走り回っていただけ、と言えるのかもしれません。

この解釈ではあまりに閉塞的なので、宮崎さんはもっと別の意味でこの作品を作られたのかもしれませんが、私はあまりの緑の映像の美しさに、むしろ人間の業を感じてしまったのです。 どちらにしろ、宮崎さんの想像力を作品に、というパワーと技術には脱帽です。音楽も、美輪明宏さんに代表される声優陣も最高でした。素晴らしい映画だと思います。

(評価:★5)

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