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[コメント] 君の名は。(2016/日)

思春期心性の帝王、新海先生の集大成であることは間違いない。描写力★5 お話★4 キャラ設定★3 ファンタジーにはファンタジーの決まり事があるはずだ。それはまた現実のリアリティを保証するためのものでもある。ここのところを次回に期待したい。
ぱーこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ケーキをスマホで写すシーン。画面を外すと画面そのままの位置でテーブルの上にケーキがある。スマホはiphoneである。レンズは端についているから、これは機構的に不可能。ファンタジーだからいいじゃん、ということなのか。iphoneの構造を知らなかったはずはないと思うが。この詰めの甘さが、入れ替わりの描写の適当さ(歌のプロモーションビデオのような描写)時間軸設定の適当さ、位置関係(東京新宿、飛騨高山、糸守町)の詰めの甘さ、画面を見ながらそういう小さな瑕疵のいくつかが胸の中にしこりとなって、自分の片割れを希求する普遍的かつ原初神話的なせつなさに感情移入するのを邪魔している。

それに反して、新宿の描写、夕なずむ空を覆う彗星の描写、いずれも圧倒的で風景に関して宿痾癒やしがたいフェテシズムの恐るべき実在感はどうだ。繰り返されるレール上をすべる戸の写し方とリズムがきざむ映画的リアリティはどうだ。この技術力をもって、古典的なお話を是非やってほしいものだ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ALOHA[*] 緑雨[*] tredair

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