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[コメント] マスカレード・ホテル(2018/日)

作り物の楽しみ方
ぱーこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







キムタクと長澤まさみの映画。これはなかなかよかった。二人とも役柄と本人が5分5分の混ざり具合で楽しく見られた。 ホテルマンと刑事のバディもの。お互い信頼していく過程の表現もなかなかうまくいっている。

しかし、木村拓也が長澤まさみに捜査上の情報をさらさら流してしまうのは疑問。まあそういう作りなんだから堪忍してね、ということにしておく。それで少し興味関心が失せる。長澤も客室の番号をうっかり他の客にはなしてしまうところなど、それまでの優秀なホテルマンの職業倫理にもとる。ここも堪忍してね、ということなんだろうか。そして連続殺人のトリックと真犯人の登場など、ミステリーとしての描き方はこういうもんでしょ、というおざなりの描写なので、ミステリー部分はキムタクの刑事としての性格の背景描写なのか、と思ってみるが、それにしてはついやす時間が長すぎる。

原作にはもっと周到に書き込まれているに違いない。画面で見せられない小説はそこのところがないと読み続けるモチベーションを保てない。もともとそれは目指していないものと思われた。長澤がホテルマンを目指したエピソードが「受験の時の母がくれたお守りをホテルに忘れて、それを受験場まで届けてくれた」というものだが、これはやはりもっと具体的に示して欲しい。なんで受験大学がわかり、それを大学側が受けて長澤まさみまでお守りが届くのか、これがわからないと長澤まさみのホテルマンとしての出発点が曖昧なものになってしまう。そういうところに私はこだわってしまう。異なる職業の、同じように職業倫理を持つプロ同士のバディものとしはずいぶんとゆるい設定だなあ、と思って気がひける。

エピローグも仮面ホテルのイメージをスタイリッシュにきめたかったんだろうが、ゴージャスに見せようとした下手なコスプレショーのようで感心しない。以上総合して★3つ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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