[コメント] あのこは貴族(2020/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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女性映画でした。見合いの場面でどんなところに目がいって男の品定めをするのかがよくわかる。何も説明しないし、特別な(あえて言えば下品な)ところはひとつもない。女の人って下品で不潔なのは嫌いなんだよね。撮り方がうまい。 東京上流(松蔭ですか)と地方中流(中退するけど慶応大学だからね)の描きわけもうまいし、婚約者とかっての「都合のいい女」との顔合わせも上品でしかもそうかもしれないな、という納得感がある。
こういうしっかりした映画は、自分のことを考えながら見てしまう。私は東京の中途半端な下町(北区滝野川ー飛鳥山公園ね。映画だと19歳の地図)の庶民。こういう人間が東京の上流階級や地方のお嬢様と出会えるのは大学が一番の場所だ。工業高校を卒業して東京都立大学と東京大学に都合13年も学部生として在籍した私は、女子大のお嬢様や東大の女子学生とお話したことがある。もちろん生育場所と階級差でしっくりいったことはない。私の出自を聞くと慶応幼稚舎出身の人はかえって気を使ってくれた。それがこっちに伝わるってのもなかなかシビアな感覚です。
それで水原希子がキャバクラに務めるまでのいきさつ、とか門脇麦が離婚するときの修羅場とか、そういうのを見たいわけです。上品な映画なので、そういうところはきれいにまとめていて話が伝わるようにしている。どの立場でいても「今日あったことを話せる人がいるって幸せ」とかなんとか。そういうのはめったに無いことだから逆言えば「女はつらいよ」ってことなんだと思う。それでラストのキャッキャしている若い女の子たちと別の橋の上から身分や立場を超えた挨拶が通じたり、軽井沢で偶然あったもと夫とみつめあったり、そこにほのかな希望のようなものが滲んでくるところで終わる。文句はないけどやや不満なのでした。これに庶民を絡めたコメディがみたいです。
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