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[コメント] 男はつらいよ 寅次郎頑張れ!(1977/日)

ああ無情
ぱーこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ラストの旅芸人が上演する芝居。20作も見てくると、どうやら私の見方がとても偏っているということが実感されてくる。

今回は大竹しのぶがすばらしい。大竹しのぶ、赤羽商業高校演劇部。(この学校は後2年2020年で廃校)倍賞千恵子。滝野川第六小学校・紅葉中学校卒。今は廃校になって滝野川紅葉中学校になっているんだが、私が滝野川第二小学校・滝野川中学校卒なので、いわば地元出身のスターですね。もちろん有名でした。直接あったことはないけど。そんな土地柄出身の女優がやっている人情ドラマ。よくわかって当然なんだが、私にとっては謎が多い。人情の流れがわからない。

今回寅が自転車に乗っているシーンがある。上半身だけ横から撮っている、背景が流れている。ハンドルを握っている手元を見ると、ブレーキのアームだけを握っている。上の握る部分は掴んでいない。次が遠くから寅が自転車を降りるシーンになって、すぐにアップになる。渥美清は自転車に乗れなかったんじゃないか。そのことが大変気になる。物語からするとどうでもいいことだ。

中村雅俊がガス自殺する流れがまったくわからない。まあ、寅が来て自分がでていかなくては、と言って荷物をまとめてすぐに行動に移すなど直情直行の性格描写がなされていたけど。フラれたと思って大竹しのぶの店に行ってプロポーズするのがもう謎。もっと謎なのが、相変わらずのマドンナの鈍感ぶり。寅と所帯を持つ気はないのか、ああまで言っておいて、と思う。

寅も柴又ではトンデモないやつだが旅先では大変有能。啖呵売だけじゃない、店の切り回し、旅館の番頭、老人殿様の相手、大変有能である。この2面性もよくわからない。人情ドラマで主役の性格設定と登場人物の感情がわからないと物語は楽しめない。ああ自分は今でいうと、アスペルガーという奴じゃないだろうか。人の感情がわからない、というよりは人の気持ちになることができない。らしい。それでこの国民的人情ドラマがしっくりしないのだ。

しかしなあ、還暦をすぎること10年になっていまさら自分は大変な思い違いをしていた。あの時のことはまったく別の意味だったんじゃないだろうか、などと過去のあれこれを思い起こしてあらためて別の可能性と意味に気がついたところで現実的にはなんの効力もない。「あなたの目を見て話したい」と手紙をもらったことあるが、私は全くの冗談で本気でないと思っていたが、もしかしたらあれは本気だったんじゃないか、と思っても、相手はもう70のばあさんのはずである。生きているのかもわからない。

そんなことをこのシリーズを見はじめてつらつら考える。劇場で見て他の人たちの反応がわからないので、せいぜい信頼できるこのサイトのコメンテータの方々の反応をよーく読んで人情について勉強する次第。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)G31[*] けにろん[*]

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