コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 男はつらいよ 寅次郎物語(1987/日)

これが渡世人のつらいところよ。
ぱーこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







フーテンの寅はもともと母ものだった。瞼の母を求めてせつない旅を続けるのが寅の運命である。今回は、その立場を秀吉にやらせている。秀吉に寅は満たされない自分を見ているのだ、そう解釈できる。

母親が見つかるまで「女を絶って」というのは冗談に見えて、実は深いところでこのシリーズの本質を述べている。寅は女と男の関係になることはできない。それは寅が母に捨て得られた幼児だからである。その幼児を慈しんでいるのは、妹のさくら。これがこのシリーズの倒錯した構造。

それを今回は初めにもどって再確認した話になっている。渡世人はカタギ衆に迷惑をかけちゃいけねえ、とかっこつけているが、カタギでない相手(リリーとか、ここでは秋吉久美子ー子供は下ろしているわ、男に振られて自殺は考えるわ)に対しても寅は身を引くのだ。寅は無垢な幼児なのか。けっこうグロテスクな設定だが、そうでなければこのシリーズの大元のなぞは解けない。そういえばマドンナたちは寅を幼児のように愛しているのではないか。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] けにろん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。