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[コメント] カビリアの夜(1957/伊)

前半☆4つと思ったが、マリア参拝からの展開がすばらしい!もう大絶賛!
ぱーこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







カビリアが額ずいて地面にキスするときの祈り。ここから一気にカビリアに感情移入。それにしてもカトリックって電飾ギラギラでフェリーニの描写はいつもすごい。翌日、足萎えの男はむしゃむしゃパンなんか囓っている。カビリア、マリアのバカーって毒づいてる。絶望してふらふら入った見せ物小屋でアヤシイ催眠術のショー。この盛り上げはフェリーニの独壇場で、映画の魔法だ。催眠術にかけられたカビリアの夢想デートシーンは純粋な魂の渇望を余すところなく描いて胸を打つ。いかにも誠実そうな結婚サギが登場。口のうまいイタリア男だ。でも、もしかして本当かも、とか思う。この男デートで、両親は死んで天涯孤独なんて気を引くことを言う。しめた、親に自分の仕事のこと説明しなくてすむ、とか思いながら見ている。

カビリアの家を買ったのが貧乏人の子沢山を絵に描いたような一家で、こういう細かなところがすごくいい。友人ワンダと別れるところで「婚約者に紹介してくれない」水くさいじゃないの、とワンダが泣く。いくら幸せに目がくらんでも、そういうことやってるとバチがあたるんじゃないか、とチクチク不安になってくる。見晴らしのいいテーブルで相手の男はサングラスなんかして、アヤシイ。森の中では手が冷たかったりして無口。湖に沈む夕陽を見に行こう、とかいわれて、見ている方はますます不安になる。「殺さないで」−「殺して!」というカビリアの叫びに、この純粋な女の不幸な過去が全部つまっている。相手を責めないんだ。男に罪悪感があるのもいい。人間ってそうだよね。ここで突き落としたら、すごく安っぽい映画になっちゃう。

ラストの笑顔は、こういう事態でもついお愛想笑いしちゃうピュアなカビリアなんだけど、また元気に暮らしていきます。大丈夫です。この笑顔の中にマリアはいます。私はそうみました。

ノースリーブのセーラー服始めてみました。ジュリエット・マシーナ、もうサイコー。大竹しのぶが似てるかも、とか思いました。

(評価:★5)

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