[コメント] 存在の耐えられない軽さ(1988/米)
(青年でない者の)青年の主張:「映画とイデオロギーについて」
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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この映画は一見すると、社会主義政権下でのチェコスロバキアを批判した映画、すなわち、「東」のイデオロギーによって人間として扱われなくなった者たちの悲喜劇と見ることが出来る。「プラハの春」におけるソビエトの描き方を一つとって見てもそれは間違った見方ではないだろう。
しかし、だかといって単に西側のイデオロギーが勝利する映画であるとも言えない。なぜなら、ラストで二人が行き着いた「場所」とは「資本主義社会」とは縁もゆかりもない、支配も対立も存在しないような村だったのだから。
だが、そんな「場所」は現実には存在しない。だからこそ彼らは死ななくてはならなかったのだ。
でも、「映画」は彼らのそんな「はかない自由」をスクリーンに焼き付ける。 なぜなら、「イデオロギーが取りこぼしたもの」を拾うもの、それこそが「映画」なのだから。
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