[コメント] JUNO ジュノ(2007/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
例えば、どんなに経済的に恵まれて、安定した結婚をしていたとしても、
ずっとお花畑状態で出産までこぎつける妊婦はまずいない。
稽留流産、切迫流産に妊娠中毒症、いろんなリスクはゼロではないし、
そこまでいかなくても、つわりがひどいこともあるし、
嫌でも行動は制限される。
ましてや女子高生が妊娠ともなれば、今まであちこちで描かれてきたのは、
ひどいイジメや嫌がらせのおまけつきだったりする。
中絶を請け負う団体施設?の前で、東洋系の女の子が訴えていたように、
いわゆるプロライフの力も強そうだから、
「おろさなかった」ことを好意的に見る人が多かったのかもしれないけれど、
不自然なほどにそういう(いじめ、嫌がらせなどの)描写がなかった。
でも、全部見終えてみると、自分はそういうものを求めてこれを見たわけではないんだという答えが出た。
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ジュノから、妊娠と先のプランを打ち明けられ、
声を荒げることもなく聞くマクガフ夫妻。
風変わりなジュノの言動に面食らいつつ、前向きに話し合おうとする
マーク&ヴァネッサ夫妻。
「あの子嫌い」と言いつつ、息子を訪ねてきた腹ボテ娘を
門前払いするわけでもないポーリーの母。
大人たちは本当はテンパってるくせに、みんなぎごちない笑顔で、
それぞれの問題とかいやあなことをやり過ごそうとしている。
それが本当に「いちばんいいこと」なのか、きっと誰も知らない。
何か想定外のことが起きたら、
どんなオトナでも、目先のことにひとまず当たらざるを得ない。
オトナだから、平気なふりして見せるけど、
本当は内心びくびくだったり、苦り切っていたり。
そして、それは16歳のジュノだって同じなのだと思う。
「きれいはきたない、きたないはきれい」じゃないけれど、
「オトナはコドモ、コドモはオトナ」なのだ。
出産を終えたジュノに、「今度は自分の子供を産むんだ」と
ジュノの頭を撫でる父マックには泣けた。
生まれたばかりの坊やを抱いたヴァネッサが、
ブリーに「どう見える?」と尋ねる、
喜びと不安の混じった表情は美しかった。
メインキャラクターがみんな少しずつ、
いいとこも悪いところもあって、共感できる。
ただ、ブリーが超音波技師に利いた憎まれ口はやり過ぎ。
確かに頭ごなしで腹の立つ言い方ではあったけれど、
あそこまで侮辱するほどかと思う。
演出し過ぎると、ただの「絡みづらいヒト」に見えてしまう。
演じていたのが好みの女優なだけに、ちょっと残念だった。
2009.6.3 ひかりTVビデオ配信サービス視聴(420円/48時間)
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