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[コメント] 赤線地帯(1956/日)

成沢昌茂の脚本が素晴らしい。個性的な女優陣の性格を見事に描き分け、名台詞のオンパレード。女将の沢村貞子はまり役です。旦那の進藤英太郎の迷口上が繰り返されるのも良い。黛敏郎の音楽は、蠢く登場人物たちの心象風景をとらえて絶妙。
フランコ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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京マチ子若尾文子木暮実千代三益愛子町田博子の演技はいくら絶賛しても足りないくらい、自然で、切ない。女性を知り尽くした溝口健二成沢昌茂の筆致はリアルで冷徹であると同時に温もりがある。 温めたミルクの匂い、煮詰まったおでんの香り、濃い口中華ソバのしょうゆの臭い、安うどんのしょっぱい薫り、各女優の見せ場に食べ物を配したところも憎い演出だ。 対して男性は情けない役が多いのは、監督、脚本家の自虐ネタか。 太る前の三益愛子は、子に捨てられて発狂する母親を鬼気迫る演技で見せる。彼女に限らず、それぞれの女性の強い面と弱い面を描き分けた手腕にも脱帽だ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ゑぎ[*]

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