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[コメント] 河内山宗俊(1936/日)

山中貞雄、最後の抵抗。
リーダー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画の登場人物たちは、誰かを信じながら刃に倒れていく。ある者は夫を、またある者は愛する少女のことを。仕官の夢破れて死んでいった『人情紙風船』の夫婦とは対照的で、死に顔もどこか誇らしげだ。結末は悲劇的だけど、全体としてはユーモアも散りばめられていて、その分だけいくらか救われている気がする。

若かりし原節子はまるで緒川たまきみたいに可憐だし、中村翫右衛門扮する金子市之丞がたたく軽口も笑える。と同時に、この『河内山宗俊』から『人情紙風船』までの1年の間に、山中貞雄をこうまで変えてしまった戦争のことを思うと、胸が痛む。

直次郎が辿り着く先を、まだ誰も知らない。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)ぽんしゅう[*] 甘崎庵[*] けにろん[*] OZU 直人[*] ボイス母[*]

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