誘拐モノ映画で最高傑作。

　特急の窓から現金の入った鞄を投げ捨てるだなんて、タイトルを忘れてしまったけれど最近観たアメリカ映画でも使われていた。真似したのか、そうでは無いのか分からないけれど現金の受け渡し方法として電車から投げるのは映画の中で意外とよく見られる。しかし他の映画に観られるそれと、ここでのそれとは全くドキドキ感が異なるとわたしは思う。ポイントはあのカメラ。カメラの中のカメラがあんなに緊張感を高める効果があるなんて、非常に面白いなぁ。まるで自分が刑事になったの如くマバタキ一つしないで犯人の姿を今か今かと待ち構えるのだけれど、あまりにもあっと言う間の出来事でボーゼンとしてしまう。しかし特急って、本当にあんな風だ。あんなにリアルな電車の描き方は他の映画には無かったんではないかと思うほど。

　大体、自分の子供では無く他人の子供を誘拐されるという出だしからしてユニーク。他人の子供なんだから払わないのか、それでも払うのか・・という葛藤。そして前半の室内でのやり取りだけで緊張感を出すなんてのも見事としか言いようが無い。 　あとは、海の近くの家へようやくたどり着いた時の、あの死体の見せ方。そしてそこに車が辿り着くまでの子供の「あっ、ここ通ったよ。あそこでおしっこした。」なんて台詞にもいちいちドキドキしてしまう。煙突からのピンクの煙を見て思わず「ああっ」と言いたくなる。・・次から次へと緊張感が続く。こんな映画観た事ない！

　極めつけはスパーンと容赦無いラスト。もうラスト最高です。改めて言おうっと。この映画は最高です。