[コメント] アサシン(1993/米)
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本題のまえに、『ニキータ』でのヒロインの任務上のコードネームが「ニキータ」で、『アサシン』では「アンナ」だった気がするのですが、もし全然アンナなんかじゃなかったら、ごめんなさい。
冒頭からダメ。『ニキータ』のアンヌ・パリローがすごいのは、不潔なジャンキー少女になりきってたこと。ブリジット・フォンダは恥ずかしがって、全然汚れてない。美人の役だけこなしても女優じゃないでしょ!ここでちゃんと汚れてないと、変身後の姿に説得力がない。アンヌ・パリローの本当に笑った事がないみたいな、ぎこちない笑顔は上手かった。
チャッキー・カリョがやった教官役にガブリエル・バーンが似合わない。ニキータに対する気持ちは、あくまでも微妙な感情なんだよね。バーンは陰気すぎる。陰気な役じゃないのに。
「ニキータ」でのニキータが従業員に扮して食事を運ぶだけという任務も、これが最初にあるおかげで、観客(とニキータ)に「ああ、スパイといっても地味な活動なのかな」と油断させ、リアリティも増して、話に緩急をつける重要なシーン。それがなぜ大爆発? アメリカ人ってやつは…。
ジャン・ユーグ・アングラード演じる、理想の恋人がなぜ、幼稚で短気なカメラマンに? 旅行先で、彼女が暴漢をひとりで撃退しても「お前、すげーな」とか言っておおはしゃぎ。バカ? それに、戸籍上は死んだ人であるアンナを、あんなに激写させていいの? アンナが写真嫌いだとか理由をつけて、撮らせないようにした方がいいのでは?
「ニキータ」のホテルでの突然の狙撃命令のシーンも、元ネタでは揺れるニキータの心がハラハラさせる名場面だけど、こっちは電話をとる時、あのカメラマンがいつまでも後ろからアンナにいやらしく絡んできて、むしろウザったかった。ハラハラというよりイライラして、早くそんなしつこい奴ふっきって狙撃しちゃいなよって思う。
秘密の任務で忙しいときも、ニキータの彼はうすうす感づいていたから、何も言わなかった。でもアンナの彼は子供っぽくイジけて「どうせ君は忙しいさ」とか言って八つ当たり。つくづくウザい男。
そしてラストシーン、残されたイイ男2人の、渋い渋いシーン。彼女は今頃どこへ…って、おい、すぐ見つけてんじゃん。ダメだよ見つけちゃ。ホント、アメリカ人はわかんないんだよなぁ、微妙な機微が…(全てのアメリカ人じゃないけど)。彼女は自分の意志でひとり飛び立っていったわけよ、捕まってから見逃されるのとじゃ、なんか違うんだよね。
結論として、「ニキータ」の良いところをすべて台無しにしてしまった。こんなに長くなってしまい、もし読んだ人がいたら、申し訳ないですが…。
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