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[コメント] アメリカン・プレジデント(1995/米)

政治モノ+ラブロマンス映画? そこは政治<ラブロマンスで頼む。
mize

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 政治だろうが秘境だろうが病院だろうが、その後に「ラブロマンス」を足したら、そりゃラブロマンスとして優れてなきゃいけねえ。もしここに更に「サスペンス」とか「アクション」が付け加えられたら、話はちょっと違ってくるが…。

 「エネルギー法案を提出したのは、キミのためじゃない」「私も…法案を提出されたからココに来たわけじゃないわ…」ガシッ!! って、なんっつーロマンのない。ここでウットリしろってか!

 鼻っ柱の強いヒロインとヤモメの大統領が恋をする、それだけ聞くと恋愛映画としてかなり期待できそうじゃないか。ところがヒロインが強気なのは最初の数分、大統領が後ろに立ってる事に気づく瞬間まで。この映画に期待したのは、まず立場の違う二人が対立しながらも恋に落ちてしまうという盛り上がり。ところが喧嘩にもならないし、彼女は大統領に会った途端にヘコヘコしてしまう。性格上の対立による障害はこの二人には最初から無い。そもそも、どうという性格でもないフツーすぎる二人のキャラに魅力がないのも痛い。

 次に相手が大統領であるという立場上の障害。つっても、王様と街娘ってわけじゃないんだし、大統領も数年前はタダの人。実際そんな大した障害じゃないっしょ。ついでに言えば、相手が大統領であろうが一般人であろうが、亡き前妻との娘ってのも映画では恋の障害(言葉は悪いが)としてよく描かれるが、これも初対面からあっさりクリア。むしろ応援までしてくれる。

 しかし実際、そんな分かり易い障害なんてなくても恋するっつーのは難しいんだよ! イイ歳した男女、しかも片方は妻を病気で亡くしている、そんな二人が恋に落ちるってだけで障害なんて無くても十分難しいんじゃないか? ただの一般人同士だとしても、その過程をじっくり描くだけで秀作になり得る。ところが二人は何とも拍子抜けするぐらいカンタンに恋に落ちる。ベッドインまでスイスイだ。そういうお話だから私たち恋に落ちましたって感じだ。クドクド言ったが、ホントはこの最後の点だけでもう恋愛映画としては失格(自分の中では)。

 そこで気になったのは、現実的に大統領に惚れられた女性は大変だろうなぁという事。会ったばかりのその日、突然居候中の妹の部屋に大統領直々に電話でデートの誘いが来る。ヒロインは嬉しそうに笑って「どこでここの番号を? ああ、大統領ならFBIを使って調べられますものね」「いや、国税庁に問い合わせようと思っていた」「まぁ(笑)」。これ、よく考えたら怖くないか? ヒロインの方も悪しからず思っていたからいいものの、一歩間違えたら大統領でストーカーだぞ。大統領に付きまとわれたら最悪だぞ。持てる力すべて使って猛攻撃してくるんだぞ。しかし、この映画よりはむしろそういう展開の映画を望む。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ジャイアント白田

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