[コメント] マスター・アンド・コマンダー(2003/米)
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個人的に良かったのは冒頭の海戦のみ。敵に先に発見され砲撃を受けた際の脅威、逃げる脅威はよく表現できていたと思う。また、あそこまでボロボロになった帆船を水上で修理してしまう職人わざに、なるほど当時はそうしていたのか!と新鮮な驚きを感じた(このときちょうど劇場のビルのほかのフロアーから、カンカンカン!と、工事の金づち音が鳴り響いたのですが、タイミングがよかったのでご愛嬌)。キャプテンが現地の女性と見つめあったシーンは全く意味を成さず、不要でしょう。
当時の医者が、あの海域で新種の動物に興味を示すのはなるほど頷けるが、それを約束云々でキャプテンと口論するのは軍艦上では論外だと思う。まぁ友人としての会話だとは思うが、2人の軍務と友人関係の入り混じった描写も本作では中途半端だった。それに、このドクターは、学者と軍人は両立できないと少年に言っておきながら、最後の海戦では、しっかりと剣を取って2,3人を相手に互角に闘っており、ペンも剣も取る彼の言動行動からは、その人間像は理解不能だった。
最後の海戦については、捕鯨船に偽装して仏軍を奇襲したにもかかわらず、乗船後の仏軍の死んだふりにまんまと騙されてしまうのはあり得ないと思う。大混乱するはずのフランス軍の状況からして、あらかじめ奇襲を想定し、そのように申し合わせていたとは考えられないし、英軍の状況からしてもあの砲撃で全員を倒したことを鵜呑みにするほど楽天的ではないと思う。 そもそも、最後の最後の決戦で、英仏の騙しあいを見たくてこの映画を観に来た人などいないだろう。消化不良で終わっちゃうし・・・。ほんとがっくりだった。
もう一つ、仏軍の医者がとっくに死んでいたって、ドクよー、どこでいつ誰に聞いたのよ。仮にキャプテンの耳に入らない状況で情報を入手して、けが人の多いあの船に自分が必要だと思ったのなら、あなたなら両船が別れる前にそう進言したのではないですか? 現にあなたはいままで思ってきたことをキャプテンに包み隠さず進言してきたのだから・・・。
マスター(船長)・アンド・コマンダー(指揮官)というよりは、マスター(船長)・アンド・ドクター(医者)ですね(この場合、修士と博士という別な意味にもなってしまいますが・・・)。
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