[コメント] ボーン・スプレマシー(2004/米=独)
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前作では指紋を現場に残し、存在の痕跡を残すことに敏感になっていたボーン。彼は成り行きで一緒になった彼女の指紋にも注意を怠らなかった。
本作では、指紋への配慮は意味をなさない。なぜなら、彼女を殺されたボーンには彼女のアイデンテティ(指紋)を守る必要もなく、ボーンの指紋そのものが容疑の引き金となっているからだ。
指紋は一世紀以上も犯罪捜査に欠かせないアイデンテティとなっている。されど、科学的遺伝子捜査の有効性が実証された昨今、映画としては指紋にこだわるのは古典的といってもいいだろう。そこが、本作を全く別世界ではなくそれなりに身近に感じさせる、スパイものアクション映画としての設定の妙と言えそうである。
ボーンは前作のように身を隠しながら過去の自分を探すのではなく、存在を「主張」しながら事件の真相に迫っていく。存在を主張することで、閉塞的な緊迫感のあった前作にはない、広範でダイナミックなアクションを演出することに成功した。
ベルリンの街並みでのロケの見事さといったらどうだろう。ベルリンを訪れたことがある人なら身を乗り出して観てしまうこと間違い無し。ベルリンでの時刻表は、自分のいるホームと対向車線を通過する電車の時刻をチェックしていたのでしょう。時間に厳密なドイツでないと通用しないトリックと言えましょう。
ロシアのカーアクションも凄い。あの振動の中で、初めての土地の地図を読めてしまうんなんて、それだけでもぞくぞくした。 あと、画面の左下に出る小さな都市名のテロップと、その際の「チロチロ・・・」という地味な効果音は、前作と同じ雰囲気で懐かしい。
ちょっと気になるのは、あの警戒態勢の中のどこで寝てんだよー!ってところでしょうか。前作ではそういった描写もあったような気がするけど、忍者のように潜むならまだしも本作の作風には必要なかったのかもしれません。
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