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[コメント] 空中庭園(2005/日)

独楽と凧。 凝ったカメラ技法に息を飲み、翻弄されつつも、リアリティがあまり感じられない。あの状態であの家族が10年以上持ち堪えたことに疑問が残るが、本作の吸引力はすごい。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
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浮遊感のある人生。それは現代人であれば、多かれ少なかれ共通する部分だろう。監督が多用したカメラのローリングは、小泉今日子の心が浮遊しながらもその軸は一箇所に固定されてたこと(思い込みに囚われていた)を示していたのだろうか。 他の家族の心が通勤・通学バスの上方の中空を左右に彷徨っていたのは、小泉が拘束の糸を引いていたのであろうか。

この家族を例えるならば、独楽(こま)と凧と言えるのではないだろうか。 独楽は正体を現すまで倒れないようただひたすら軸を中心に回転し、凧は自由に飛んで行きたくても飛んでいけず、飛ぶことすら制約される。

ストーリ的に説得力のある物語だったが、最初から危うさがぷんぷん漂っていたので、ある程度の展開、そんなに悪い結末にはならなそう、と先が読めてしまった。しかし、先が読めても映画への吸引力を維持し続けたのはすごい。 心の病を描いた映画としては『泳ぐひと』のほうが、演出、人物描写、結末ともに印象深いが、もともと好きなジャンルではないかな。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)kenichi

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