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[コメント] いまを生きる(1989/米)

詩は諸刃の剣、ということなのでしょうが、これって、特別なことでないと思うし、現実でもよくある話だと思う。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







詩は内に秘められた思想が外に溢れ出てくるようなものだと思う。本作は、自由、愛などの自己表現の手段としての「詩」を描いていたようでしたが、その根本となる若者の内面に生まれつつある詩をもう一つ表現できていなかったように感じた。

この意味で、言葉での表現を不得意とするイーサン・ホークには期待したのですが、教室でやっとの思いで口にした詩(真実は、人が毛布からはみ出るように、覆い隠すことができない)は、ギリシャ哲学者プロタゴラスの「ベッド」(人間尺度説;絶対的な真理の否定)をそのまま「毛布」に置き換えたようなもので残念。即興でプロタゴラスを引用したということかもしれないけれど、詩は知識じゃないと思う。彼の内面から溢れ出た詩を独創的なものとして、本作の核としてほしかった。

ラストの直立は、自由は束縛できても、詩は束縛することはできない、ということを意味しているようにも感じましたが、彼らの自己表現(=「行動」)としては納得できるものの、その表現から彼らの深層に根付いた「詩」を感じることができませんでした。

自殺した彼だけが独自の詩を持ちえた(持ってしまった)ということなのかもしれませんが・・・。

(評価:★3)

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