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[コメント] 幌馬車(1950/米)

フォード監督の回転技の妙。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
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西部劇はその性質上、馬や馬車の移動や、インディアンとの対決、街でのガンファイトなどに見られるように、直線的・直角的な構図の描写がどうしても多くなる。そんな西部劇において、ジョン・フォード監督は、ポイントポイントで回転やターンの描写を入れ、モーションを切り替えることで、視覚的、精神的な刺激を与えると共に、巧みに楽しい雰囲気を演出する。

本作では、水を得られた喜びから始まった宴や、ナホバ族との交友で、回転の動きが描かれていたが、最初の喜びのダンスは「風車」のような華やかさがあったのに対し、ナホバ族とのダンスは秒を刻む時計の「歯車」のようだった。全編にわたるダイナミックな幌馬車の描写のなかにあって面白い演出である。

他作でも、ターンするに連れ、男女ペアの列が、4列、8列へと増えていく『アパッチ砦』や、BGMにあわせてくるくる回るモーリン・オハラの日傘(『リオ・グランデの砦』)など、フォード監督作品の見所の一つとして注目したい。

あとハンク・ウォーデンは登場してくれるだけで嬉しくなってしまう。今回は間抜けな悪役か!ほんと味のある役者だ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)けにろん[*] 赤い戦車[*] モノリス砥石 ゑぎ[*]

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