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[コメント] 存在の耐えられない軽さ(1988/米)

時間軸の整ったミラン・クンデラ
おーくらくん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







原作「存在の耐えられない軽さ」の素晴らしい批評「クンデラの未経験の惑星」があるのであえて長い批評はしません。

観客は、トマーシュとテレザがトラックで事故死するラストをサビナに宛てられた手紙の中で事前に知ることになる。ここで僕はいかなる映画のクライマックスよりも強い衝撃を受けた。この映画はいわゆるスリラーやアクションではないためにこの種の映画における視覚的かつ聴覚的に刺激的なクライマックスを持っていない。にも関わらず感情において強いショックをもたらす。それはむしろ全感覚的な衝撃を与えるものであった。それはトマーシュとテレザの‘軽さと重さ’を平静の日常の中で(プラハの春の中にあっても!)、モノトーンで描いてきた時間の長さがもたらした心の平穏が突如‘死’という絶対的絶望的な存在によって打ち破られることに起因する。この作品の構造がラストを印象的なものとしている。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)moot じぇる

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