[コメント] 蛇イチゴ(2002/日)
『岸辺のアルバム』を彷彿とさせる家族の偽りの平和と崩壊。良かった。ただ、これはいったい誰の目線で描いた作品だったのかという消化不良が残る。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
教師の娘が生徒の言う言葉を嘘だと決めつける。そんなシーンから始まり、彼女の兄に対するトラウマが「兄は嘘つきではなかった」と解消されるシーンでこの映画は終わる。それから察するに、本作はやはり娘が主役(目線)の映画だったんだろう。
母は言う。「あなたの言う事は昔っから皆正しいわ」と。
兄も言う。「おまえがデタラメな事を言った記憶がない」と。
そんな面白みのない生真面目な娘がラストで蛇イチゴを見せ付けられ崩壊する。否、再生するのかもしれない。こう整理すると、やはり本作は家族の偽りのプラス面だけを見てきた娘の自己崩壊のドラマだった気もしてきた。
ただ、ちょっとだけ不満が残るのだ。本作が面白かったのは家族の偽りと崩壊がリアルに描かれていて、崩壊しまだ火が燻ぶっている中で家族の本性が顕わになっていった点だった。形が崩壊した後こそ本当の心の崩壊が待っていたのだ。
しかし中盤では娘の視線は弱まり、父母や兄の目線に焦点があたる。で、これが面白かったのに、ラスト(裏山のシーンになると急に是枝裕和タッチになるのが違和感あった)になると、それらを全部吹っ飛ばして娘の目線に戻り兄と妹、自身のトラウマ、そして自己崩壊へと急速に変化してしまう。
なんかここらに消化不良感が残る。娘のドラマなら、一貫して娘目線での脚本を用意すべきだったんじゃないだろうか。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。