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[コメント] 2046(2004/中国=仏=独=香港)

世界史上最強の国家へと邁進する「中国」。そこに飲み込まれる期待と不安。束の間の甘い果実を享受してきた「香港」=「トニー・レオン」の失ったモノと2046年に失うモノ・・・
sawa:38

2046年に香港は特別行政区という特別扱いが解除され、真の意味で中国に吸収(復帰)される。西洋文化に染まり、自由を謳歌していた彼等が自由にモノを言える時間は限られている。

1966年から1969年に至る中国の文化大革命の時期をあえて舞台設定した本作。当時の中国では指導力を失いかけていた毛沢東と4人組による共産党内での権力奪還運動、すなわち文化大革命によって大量のホロコーストが行われていた。

そんな中、中国でありながら中国でない「香港」は自由という甘い果実を享受していた。まさにトニー・レオン演ずるチャウそのものだ。

彼は二度と取り戻すことが出来ない女との耽美な世界を引き摺りながら、空疎な虚構の世界で酒と賭博と女たちに浸る。チャン・ツィイーの想いに気づかない振りをしながらバブリーな耽美的生活を楽しんだ。彼には何も残らない。そしてそれに気づいた時にはすべてが手遅れなのだ。

20世紀がイギリスそしてアメリカの世紀であったように、21世紀は中国の世紀であろう事は誰の目にも明らかである。そんな2046年は確実に彼等の許にやってくる。

(評価:★3)

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