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[コメント] いま、会いにゆきます(2004/日)

多量の涙が乾くのには充分過ぎたラスト15分。
sawa:38

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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定番的な作りをひっくり返すラスト15分。そこに描かれるのは、本編で合点がいかなかった謎ときであり、伏線への答えであり、そして「受け身」に描かれていたはずのヒロインの秘めた意思であった。

「いま、会いにゆきます」というタイトルへの想いへ帰結する重要なプロットなのだろうが、単純な私にはやや冗長な感がした。映画的な二段、三段のどんでん返しは面白いと思う。それは良く理解したつもりだ。しかし、それを理解した上での冗長感なのだ。

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本作を自宅で独りで鑑賞したことに安堵している。これほど多量の涙を流したのはいつ以来だったか。『異人たちとの夏』以来ではなかろうか。いい大人の男が昼日中に涙流してる画は異常だったろう。自分でも気持ち悪いと思う。

異人たちとの夏』ではどうしても逢いたい人は幽霊となって現れた。その後コノ手の作品は大量生産され、私の涙腺は結構鍛えられてしまった。

それでも本作には泣かされた。『黄泉がえり』でもそうだったが、今は亡き人との邂逅と限られた時間での幸せ作り。これは家族を持ったことのある人の心のツボをワシ掴みにせずにおかないだろう。

3人が暮らした雨の時期、その描写のひとつひとつに泣けた。何でもないようなカットのひとつひとつに「家族の幸せ」を感じ涙した。そう、泣きっぱなしだったと告白する。

だから、だからこそ、あの廃墟での別れのシーンで終わって欲しかった。不可解な謎やら伏線への答えなんか、もうどーでも良かった。

多くのコメンテーターの方が仰るようにアノラスト15分で作品はステージを一歩上がり、一歩上質の作品へ昇華したのだろうとも思う。だけれども、私にはただただ「家族の幸せ」を充分に描いてくれたファンタジーで充分だったのです。

私には多量の涙が乾くのには充分過ぎたラスト15分でした。

(評価:★4)

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