電車男のおどおどした態度には苛ついた。何故なら俺はあそこまでウブじゃないから。

だけども、エルメスがアップになると下を俯く電車男。同様に俯く俺。

ちょっと待て！　何で俺まで・・・

そうなんだ、トラウマが走馬灯のように俺の脳内を駆け巡っていたんだ。

これまでの人生の中で、俺はいったい何人の女性に告白してきたか？勿論、人数は覚えている。俺はそんなに軽薄な男ではないからだ。だが、どんなシュチエーションでどんな浮いた言葉を搾り出したのか全く記憶が無い。そう、完全に記憶から欠落しているんだ。玉砕した彼女の場合にはその場所の記憶さえ削除されてしまっている。

告白は男にとって人生最大の賭けである。受験ならその評価は学力だけ、就職ならばプラスして人柄やらこれまでの生き方やら今後の姿勢等が問われる。

だが、告白はさらに過酷な評価要素が加わる。容姿・財力さらに相手の嗜好も大事だ。いくら完璧な男でも、相手がデブ専ハゲ専だったらそれは報われないのだ。

告白レベルのインジケーターが100に達してからの告白がベターだが、大抵の場合俺はソレを読み間違える。そして玉砕していく。

その瞬間を迎えるまでの一日は本当に真っ白な時間が過ぎていく。電車男のおどおどした態度が自分の過去をえぐる。

俺は完全に電車男と同化していく。そんな自分がとても恥ずかしかった。だから、目を逸らした。でも、心から応援した。こんな電車男を醒めた目で観れる訳ないだろ。

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減点理由

上記の感想はただの純朴な純愛映画だったとしても成立する感想。しかし本作はオタク・２ちゃんねるっていう設定が重要な要素な筈であった。

しかし、オタクはあんなに綺麗に生まれ変われるんだろうか？あんなに「純」でいいんだろうか？エルメスちゃんに萌えていたんじゃないのか？もっともっとドロドロしたイヤラシイ姿も描いて欲しかった。

２ちゃんねるはあんなに素敵な住人ばかりなのだろうか？あんな素敵なところなら俺も住み着いてしまいたい。

ＰＳ．劇場は観客にキーボードを配るようなパフォーマンスがあっても良いんじゃないかと思った。そう、観客が思い思いに「がんばれ」とかって打ち込む訳ね。そんな鑑賞の仕方があってもいいんじゃないかなぁ。