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[コメント] 初恋(2006/日)

これは救いようが無い。どこをどう切り取っても救いようが無い。
sawa:38

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







1、これは3億円の犯人のドラマなのか?それとも少女が3億円の犯人になっていくドラマなのか?どちらにしても「3億円事件」という昭和の歴史で大変インパクトのある事件を扱っていながら、その扱いは映画の中で重きを成しておらず、その意味は小さい。例えば少女がその他のありがちな犯罪を犯したという設定であっても、本作は成立してしまうだろう。

「3億円事件の犯人は少女だった!」という大風呂敷を拡げてしまったものの、その拡げた先は風呂敷の大きさには耐えられないような小さく陳腐なドラマしか用意出来なかった。

何であんな大風呂敷拡げちまったんだろうか?

2、当初この『初恋』というタイトルはリョウというクールなリーダーに対してのものだと感じた。現に脚本は彼を中心に描いている。しかし、事件の計画が明らかになってくると同時に彼は脚本から姿を消し、岸という男が主役級に昇ってくる。

前半の主役であったリョウという存在は映画上、何だったのだろうか?彼に対して少女の心の揺らぎというのがあったという解釈ならばそれで納得もしよう。しかし、彼に対して心が動いたという描写はなかったはずだ。

3、この映画は何を描きたかったのか?少女の行き場の無い怒りだったのか、時代の閉塞感か、誰もが熱くなった学生運動の高揚感なのか?先にも述べたように「3億円事件」の新解釈まで持ち出す程の設定が必要だったのだろうか?

考えるに、その「新解釈ありき」から陳腐なドラマの枝葉を継ぎ足していっただけのように思われる。

結局、何が描きたいか不明なので、映画のバランスが極度に悪くなっている。加えて『初恋』なんて意味不明のタイトルが一層映画を分からなくさせている。要は「3億円事件」に触れてみたかっただけのおバカな一発アイデアだけの作品であった。

(評価:★1)

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