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[コメント] それでもボクはやってない(2007/日)

地雷=竹中直人を隠し味から外した周防正行の英断は見事だったねぇ。
sawa:38

ここのところ行定勲監督がどっか変な方面へ逝っちゃったきり帰ってこない。もう僕等のところへは帰ってこないだろうという状況において、やはり期待は周防正行だった。そんな期待の星が作風(っていうかネタ)をがらりと変えて、活況に沸く邦画界に久々に復活した。

演出も撮影もすべてが正攻法で特筆すべき点は何も無い。何も無いけど面白い。

ネタの面白さは勿論なのだが、これを長尺にも関わらず魅せてしまう辺り、これこそ監督の手腕なのだろうか?映画を見ていると、時に被写体の後ろに控える多くの制作スタッフの思惑が透けて見えてきてしまう事がある。練りこまれた編集や凝った撮影手法に「どうだ!」という声が聞こえてきそうな感じを受ける時があるのだ。

今回、鑑賞中にそんな事を感じる事は微塵もなく、手厳しい評論家然とした見方をしようとした者(俺のことか?)は肩透かしを喰う。というより、そんな事は忘れさせられてしまう。

思えば、周防正行監督の作品は「さぁココが笑いのツボですよ!」というお約束のシーンが地雷のようにいくつも仕掛けられていたものだった。そんな地雷を撤去した正攻法での作品の一作目が本作ならばソノ戦略は大成功だったろう。「お茶目な」娯楽作品から「正統派の」娯楽作品へ見事に乗り換える事が出来たのだ。

かつてない邦画界の復活ブームにあって山田洋次市川昆が凋落する中、真の邦画の王道を進むべき逸材は、行定勲が「大艦巨砲主義」へ逝っちゃった今、周防正行が継ぐべきものだと思われる。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)トシ IN4MATION[*] 地平線のドーリア[*] ナム太郎[*]

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