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[コメント] 雑兵物語(1963/日)

当初、雑兵の悲哀を描くなら太平洋戦争が舞台の『兵隊やくざ』で充分じゃないかと思いながら鑑賞していた。が、戦国時代を舞台にした意味がようやく判明するに、これは「戦争」の本質さえ抉る深い作品になっていくんだな、これが。
sawa:38

戦場であいまみえるのは隣村の仲間だったり、果ては同じ村の仲間だったりする。

彼等はその地の領主に強制されたり、報奨金を提示されたりして足軽となる。

だから場合によっては金額の多い少ないで、北についたり南についたりする。変わり身は早く、同じ村人が敵味方に分かれて戦場で顔を合わすことになったりする。

彼等足軽たちに私怨はない。だから戦場では本気で戦わず、戦う振りをしてノルマを果たす。

「無益な戦争を欲しているのは大名だけ、農民は勝ち負けよりも田畑が大事」

これが成り立つのが戦国時代。

しかし、言葉を現代に置き換え、

「無益な戦争を欲しているのは政府だけ、国民は勝ち負けよりも家族が大事」

というのが成り立たなくなる。戦争は総力戦となり、言葉の通じない異国・異教徒とは戦場で戦う振りをするなんてことも出来なくなった。

本作で描かれた「ほのぼの」とした戦場はもう現代では通用しない。でも、もしこれを実現することが出来たとしたら?戦争の馬鹿馬鹿しさが痛烈に染み渡っていくことだろう。

やがては為政者ふたりだけが殴り合って勝負けを競うような「戦争」があり得るのかもしれないなんて「夢」をみたりする・・・

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)寒山[*]

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