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[コメント] 続・荒野の用心棒(1966/伊=スペイン)

NY近代美術館に永久保存されているという本作を、何故か小学二年生の息子と鑑賞する。「MoMA」「小学生」「残酷」「マカロニ」これらのキーワードの羅列の同一性の無さに混乱する。夏休みの絵日記が心配だ。
sawa:38

彼が言った。「どっちがイイ人なの?」

そう、この映画の面白さは善人が誰ひとり登場しないことだろう。小学2年生にしてみれば、今まで見知ったアニメや特撮モノの物語文法ではイレギュラーであり、容認出来ない存在に見えたようだ。

南軍の残党やメキシコ革命の残党は子供でも判る絶対悪だ。ショッカーやロケット団のように判りやすい。っで主役のジャンゴで混乱する。子供にとって主人公は常に「善」であり、何事にも超越した存在で金や女とは無縁でなければならない。

そんな常識をひっくり返す本作。彼は女も抱くし金も奪い取る。さらには機関銃で虐殺までやってのける・・・

私達大人はクリーンなスーパーヒーローなんか胡散臭い事を知っている。そんなヒーローが学校や職場にいたら即イジメの対象になるだろう事も想像がつく。だからこのジャンゴって奴は「リアル」なんだよなぁ・・なんて事を子供相手に説明は出来やしない。

彼は本作で多くの新しい知識を学んだ。「棺桶って何?」「娼婦って何?」「何で泥の中で喧嘩してるの?」「ねぇ皆、殺しちゃったの・・・?」

この残酷だが、言われてみれば「リアル」なこの作品を小学2年生が鑑賞して、どんな感想を持ったのか、どんなトラウマが形成されるのか判らない。彼はこの夏休みに偶然こういう作品に出会ってしまった。親の責任を痛感しなければならないが、ポジティブに考えれば、彼はこんな映画に出会うのが少しだけ早過ぎただけなのだろう。

恐ろしいのは、夏休みの絵日記に「棺桶引き摺った男が機関銃で大量殺戮している絵」を描かないで欲しい、それだけです。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)Orpheus

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