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[コメント] 仮面ライダーアギト PROJECT G4(2001/日)

映画化の限界 <ファンからの言い訳>
sawa:38

日本のTVドラマをあらゆる意味で塗り替えてしまった前作の『クウガ』と『アギト』。毎週日曜の朝8時という日本中が最も幸せな時間帯に、まるで実験的な深夜番組のような危険でカルトな映像を垂れ流したのだ。それはそれぞれが一年間に渡り、延べ20時間に及ぶ謎解きの時間でもあった。それは見終えた者にとっても決して満足のいく結論を与えてくれず、まるで韓国映画『カル』を見終えた者たちが鑑賞後に激論を交わすのにも似ている。

一般にTVドラマは映画に較べて一段低い位置に置かれる事が多い。しかし、20時間に及ぶ大作だと考えれば、わずか数十分の映画より表現できる内容が濃い。 この事は原作が小説である場合にも当てはまる。当サイトでも常に原作との比較で映画化された作品をコキおろすコメントを見かける。

この作品もまた、例外なく消化不良のB級映画になっている。

TVで連続ドラマを見ている視聴者は、それまでに数多くのエピソードで登場人物の性格や背景を知っている。しかし、単体として映画化された作品のみを鑑賞する観客にとっては、わずか数十分の映画ではそれが充分に説明されずに、「薄っぺらな人物描写」として終わってしまうのだ。

私はこのサイトの『踊る大捜査線』のコメントで大方の低い評価点に逆らって高い点数をつけてヒンシュクをかっておりますが、実はTVドラマの放映は全く見ておりません。それでも高い評価点をつけたのは、そこそこキャラの描写が出来ていて充分に楽しめたと思ったからです。

この『PROJECT G4』は連続ドラマの番外編的な扱いであり、独立した作品としては見て欲しくない。映画として公に公開された以上、これはこれで完結されたひとつの作品として存在しなければいけない事は重々承知してはいるが、ことこれに関しては毎週TVの前で家族が揃い、一緒の話題で熱く語れた家族たちに対する私的なプレゼントだと思ってどうか大目にみてやって欲しいのです。

父は複雑な謎と詩的な映像に酔い、母は美しき青年たちに惚れ、子供たちは仮面の男たちに正義とは何ぞやと教わった。これはそんなドラマの1エピソードとしてそっとしておいて欲しい、映画としての完成度うんぬんは出来れば触れて欲しくないのです。

(評価:★4)

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