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[コメント] 休暇(2007/日)

これもある種の「おくりびと」だろうか。 新婚旅行と刑務所の並列描写は原作と同じだが、原作にはない味付けもたくさんあって、しかもどれも的確だ。
TOMIMORI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「おくりびと」では納棺師という特殊な職業から偏見の目で見られたが、この作品でも刑務官という特殊な職業柄、結婚するのにも敬遠されがちである。仲人のおばさんも"刑務官"とは言わずに"お役所勤め"という言葉で主人公に気を遣っている。そんな主人公が塀の外で見つけた一筋の希望の話。(って、俺から言わせりゃ公務員ってだけで十二分に勝ち組なんだけどな。派遣村の悲惨な状況を見ていれば"こんな仕事やりたくない!"なんて甘ったれた戯言だとすぐに理解できるんだがまあそういう映画ではないので)

原作では主に主人公と妻との関係に絞られるが、映画では子供との関係が丁寧に描かれているのがよい。死刑囚の体を支える場面と子供の体を抱き抱える場面が対比されているが、同じ命でも片や死に行く者、片や人生を共にする者、主人公にとっては全く違う重みがあったに違いない。門井監督の前作『棚の隅』では息子を捨てた前妻が旦那と後妻と息子を訪ねるという話を撮ったが、今回の作品も設定が少し似ており、この監督は血の繋がらない親子の関係を描くことに興味があるようだ。

因みに原作で金田は老夫婦を殺害して金品を強奪したという設定となっている。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)寒山拾得 まー

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