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[コメント] 張込み(1957/日)

うだるような暑さの中で張り込む刑事二人(大木実宮口精二)と涼しげな主婦(高峰秀子)の対比が見事
TOMIMORI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







どこにでもいる平凡な主婦の意外な一面を発見して当惑する刑事は松本清張自身の自己投影と言ってもいいだろう。

清張自身は女性にモテないと公言し、確か愛人も作らず奥さん一筋だったと思うのだが、 小説でも「女を描くのは苦手」と言っていた。 主人公(大木実)と同じく「女は見た目じゃわかんねえや」というのが清張の本音だろう。

しかし女性に対して一歩引いたスタンスでいられたからこそこのように特異な視点で女性を描くことができたのだろうと思う。 今思えば『影の車』や『天城越え』のあの少年も清張自身の姿なのかもしれない。

ちなみに高峰秀子田村高廣のカップルは木下恵介の『女の園』でも見られ、 「女の園」で個人的にファンになった山本和子が女中役で登場するのも嬉しい。

ラストの護送シーンで佐賀から東京までの途中駅をアナウンスしてたのが面白いので書き出してみた。途中駅の数はなんと41個!誰か18きっぷで辿ってみてはいかが?

(佐賀)-鳥栖-博多-遠賀川-折尾-小倉-門司-下関-西宇部-小郡-みたじり?-徳山-岩国-広島-糸崎-尾道-福山-倉敷-岡山-姫路-神戸-三ノ宮-大阪-京都-大津-米原-大垣-岐阜-尾張一宮-名古屋-蒲郡-豊橋-浜松-静岡-清水-沼津-熱海-小田原-大船-横浜-品川-新橋-(東京)

(評価:★4)

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