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[コメント] 亡国のイージス(2005/日)

内容満載の原作をそつなくまとめたと言えるが、全くの緊迫感の無い作品に成り果てた。東京がピーンチ!って緊迫感が核となってストーリーが進行するのに、それがまったく無い。「考える前に考えろ」よ製作陣!!
アルシュ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まずは、僚艦「うらかぜ」撃沈の画。「いそかぜ」の遠方で炎が上がり、レーダーのマーカーが消えるだけ。原作では、その撃沈の描写や乗員の死にいたる様を克明に描いていた。まずはハープーンミサイルによるイージス艦の脅威というものを目で見せて欲しかったものだ。

次にグッソーの威力でどの様な阿鼻叫喚の地獄が訪れるのか?説明不足。何故か残酷描写を妙に避けている感がアリマス。

また後半、デッキで死闘を演じているのに、東京湾の真ん中だろう? どんどんと湾内に入り都心に近づいて行くと言うのが緊迫感を煽るのに、背景が全くの遠洋なんだよな。

戦闘機の描写もしかり。旅客機と同じ航路でいそかぜに迫るわけだから、高度が高すぎです。

こういった背景画の部分の手抜きが日本映画の予算不足ゆえの宿命か? これ見よがしにCGを使う昨今流行だが、こういう場面にさり気なく使うのはCGの正しい使い方なんですよ。

辺野古ディストラクションを公表されるとアメリカが何故困るのか?ダイスの大学生を殺害した件を公表されると何故困るのか?日本政府が東京都民の命と天秤にかけてイージス艦を葬ろうとするその重要度の説明が欠けていました(この辺はあらすじで私が補います)。

何と言っても緊迫感が欠如している最大の原因は、登場人物達の行動の動機付けがほとんど語られて居ない点。

まず、宮津副長(寺尾聰)他メンバーの叛乱理由、ヨンファ様(中井貴一)の意図、工作員になった如月(勝地涼)が命を張ってでも任務を遂行しようとする理由。チェ・ジョンヒ(チェ・ミンソ)の存在って一体何だったの?あれでは単にむさ苦しい男だらけの中に華を添えたいだけに思える。こう言った点が説明不足だから、各人物に肩入れ出来ないし、そちらへの疑問ばかりで緊張感が削がれたとも言えます。

映画と言うキャンパスに肝心の絵が足りない。また、そのキャンパスに登場人物多過ぎゆえに人物説明が希薄。如月行君!映画と言うキャンパスへの描き方のアドバイスをしてやりなさい。

そして、専任曹長!「考える前に考えろ!」と製作陣に喝を入れてやりなさい。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (12 人)おーい粗茶[*] kenjiban 早秀[*] ムク けにろん[*] ジョー・チップ[*] トシ[*] セント[*] kiona 甘崎庵[*] 死ぬまでシネマ[*] Lacan,J[*]

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