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[コメント] 時をかける少女(2006/日)

原作の続編だと言う事を、さりげなく・・・上品に・・・。
アルシュ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







原田知世の実写は、半分はアイドル映画。ヒット曲「時をかける少女」を歌いつつの面白おかしきエンディングクレジット時のラストは、駆け寄ってきてカメラ目線でにこりと笑ってジ・エンド。まぁ、これはこれで当時かつて無いエンドクレジットだっただけに自分は結構好きだったりする。

アニメになって、そしてアイドル映画ではないゆえに、実写では描くことの出来ないガサツキャラ。これはあえて原作とは対比させた描写で、原作は優等生で受身の立場。「彼」との再会の願いも受身。ところがこのアニメ版の主人公真琴はIQも低そうで、全てに対して積極的。 「タイムリープ・・・面白くてたまんねーよ。ガハハハハ(大口あけて!)。」・・・見る側は共感できないけれど思いっきり現代キャラじゃないですか!

さて、はっきりとはうたって無いが、真琴が「魔女おばさん」と言い放つ叔母は原作の主人公「芳山和子」である。彼女が東京国立博物館で絵画の修復をする仕事をしている叔母のもとに通う4度目のシーンで、叔母は中学時代の思い出を語る。その際に、パンするカメラは本棚の「ラベンダー」の花瓶と「二人の男性に囲まれる女子中生の時の叔母」の写真立てに向かう。この囲む二人は原作の校友・深町一夫と浅倉吾朗。特に深町の顔は光って判別できない。さり気なく上品に原作とリンクさせています。作り手の原作への愛を存分に感じさせます。

また、原田知世実写版でタイムリープをまず最初に意識させる小物だった「紅茶」も芳山和子が嗜むところもさり気なくリンクさせています。

監督の設定も約20年後を舞台としていて、紺野真琴は芳山和子の姪としていますからね。

顔に影の無いアニメは、手抜きではない。画を動かす事で立体的に見せる手法で、かえって枚数を要するわけ。確かに背景の描き込みも呻らさせるけど、それは誰の目でも判る事。さり気なく凄い「影無し技法」・・・がさつな主人公だけど、作り方がさり気なく、そして上品。この作品、作り手がかなり「本気」ですよ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)おーい粗茶[*] ぽんしゅう[*]

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