[コメント] ゲッタウェイ(1972/米)
不格好な銃撃、不細工なカーアクション、不器用なお仕置き(笑)…。スリルを知り尽くしたペキンパーの余裕の演出に、こっちはまんまと気もそぞろ。
見所は満載。
行き当たりばったりというかドミノ倒し的な展開なのだが、意外なことが起きるそのたびに男たちがちょっとだけびっくりする。びっくりするから一瞬考える。その独特のディテール表現が実に面白い。
アリ・マッグローのキャラクター設定もなかなか不思議で、どことなく品のある雰囲気を残し、図太いところは余り見せないのに、実際の行動はかなり腹が据わっている。逃走でボロボロになるのは分かってるのに、小ぎれいなスーツを新調しているところなんかは可愛い。
アル・レッティエリは『ゴッドファーザー』でのソロッツォ役と同年とは、大変な注目を集めただろうに、75年没とのことで、何とも惜しい。
この作品、見始めは、西部劇の方法論を現代劇に持ち込んだようなものかな、と思っていたが、どうもことさらそういう意図があるわけでもなさそうだ。 むしろ、日本のような維新や敗戦によるリセットを経ていない米国では、今/昔の境界がはっきりとあるわけではなく、なだらかな歴史として連綿とつながっているのだということを強く感じた。
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