[コメント] エル・スール −南−(1983/スペイン=仏)
なんどか朝が描かれる。夜明けから徐々に明るくなってゆくその過程が、静かでとても美しい。夜明け前は一番暗い。しかし、すべてが明らかになる朝に、明るさが伴うとは限らない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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私は、たぶん、一生、父の心のやわらかい部分に入り込むことはできないだろうとあきらめている。それを思うと胸が締め付けられるような気持ちになる。
沈黙には沈黙、あの場面のせつなさには涙が出た。ならば、と思う。問えばいいのか? でも、何かを問うたからといってそれにすんなり答えてくれるような相手ではないし、そもそも問いかたがわからない。いつも父の周りをぐるぐる回っているような、そんな距離のつかみきれなさを映画に重ねてみていた。
エストレリャが父に「授業をさぼれないのか」と問われたとき、それを断ったのをバカだと思った。でも、同じ場面になったらきっと私も同じなのだと思う。
さあ、これから、というときに映画は幕を閉じる。この映画は「未完」なのだと初めて知った。
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